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書籍詳細
 
球体のはなし
柴田順二著
B6・176頁 / 1980円
発行年月日 : 2011年3月
ISBN : 978-4-7655-4467-2
 

内容紹介
宇宙の神秘を感じさせる球玉は古来から人々を魅了し続けてきた。職人達によって攻玉の技能が培われ,球体の光学機能と転動機能がレンズと玉軸受として活用されるようになり,その後の技術の発展に大きく寄与し,今ではその機能抜きに科学技術を語ることはできなくなっている。本書では,現代日本の文化・科学・技術を球体という切り口から探り,平易な解説により,球体テクノロジーの意義を広く伝えるとともに,最も単純で平凡な形がもつ科学技術における有用性と新しい役割,今後の機械産業界での可能性を探る。
 
目次


プロローグ
  天然物と形態学/人工物の形/丸い形体/球玉の機能


第 1 章 球体の文化と歴史

1. 球体文化の移り変わり
  先史時代/古代/中世〜近世/現代
2. 玉作の歴史
  攻玉の起源/レンズと攻玉/転がり軸受と近代産業
3. 生き続ける玉作の伝統


第 2 章 球体とは

1. 球体の幾何学的特徴
  立体は面パッチからなる多面体/数学による球の定義
2. 球体を科学する
  球体と物理現象/超精密な体積測定/最小の比表面積/最大の空間充填率
3. 球体と工学
   転がり摩擦と粘着摩擦/真球をつくる意義/球殻と中空小球


第 3 章 真球を極める

1. 球体の加工原理
  工作機械の加工運動/球体の成形/球体づくりの落とし穴/型成形法による粗球の   量産
2. 真球度を測る
  丸さの絶対精度と相対精度/真球度の測定法/真円度測定機の問題点/真球精   度の簡易判定法
3. 真球を磨く
  難しい球磨き/真球をつくる摂理/球体ラッピングによる真球づくり/究極の真球に挑む
4. 真球はなぜ必要か
  地球環境の監視/単結晶シリコン球によるアボガドロ数の測定


第 4 章 機械・光学要素としての球体

1. 転がり軸受
   転動体による機械要素/玉軸受と鋼球づくり/軸受用セラミックス球
2. ボールバルブとボールジョイント
  ボールバルブ/球体によるシール機構/ボールジョイントと人工関節
3. ボールペン先の転がり機構
  ボールペンの誕生/しくみ/書き味と描線
4. 球レンズ
   マイクロ球レンズ/再帰反射ミラーとガラスビーズ/キャッツアイ


第 5 章 微小球とエレクトロニクス

1.  シリコンボールが拓く半導体技術
  ボールセミコンダクターの登場/微小シリコンボールの生産性/ボールセミコンダクターの魅  力
2.  ボール型シリコン太陽電池
  ソーラーエネルギーの利用/ボール型シリコン太陽電池の現状
3.  球体センサー・アクチュエーターとマイクロ球プローブ
   ジャイロスコープと球体センサー/多自由度回転駆動用の球体アクチュエーター/マイク   ロ球プローブによる微小計測
4. マイクロスフェアとマイクロバルーン
  マイクロスフェアという粉球/マイクロバルーンへの期待 


エピローグ
  宇宙船「地球号」という球体/球体テクノロジーが地球を救う/むすび

参考文献


コラム
球体に乗るフォルトウナ像/球体電極と高圧放電現象/丸いようで丸くない形/『吾輩は猫である』の球磨きと寺田寅彦/ラッピング加工/GP- B(Gravity Probe B)計画/水は曲者である/ボールねじ/伝統的な鋼球加工からマイクロ鋼球づくりまで/原子力発電とボールバルブ/路面表示用塗料と再帰反射ガラスビーズ
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