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書籍詳細
 
ダイニング・キッチンはこうして誕生した
−女性建築家第一号 浜口ミホが目指したもの−
北川圭子著
B6・278頁 / 2640円
発行年月日 : 2002年1月
ISBN : 4-7655-4430-3
 

内容紹介
ダイニング・キッチンは,旧住宅公団の2DKによって戦後にわかに登場した,と一般にはいわれてきた.本当にそうだろうか.本書は,西欧由来の近代建築の影響にも目配りし,また,封建的家族像からの脱却や女性の人権の尊重をめざして住宅設計に取り組んだ当時の建築家,とくに女性建築家第一号といわれる浜口ミホの試みや努力に光を当てながら,ダイニング・キッチンの真のルーツを探った読み物である.
 
目次
序章 公団2DK
発明品といわれるDK/公団2DKとは…/DKが変えた日本男性の意識/DKとリビング・キッチンの混乱/LDKの空間構成/2DKを産みだしたもの

第1章 DKの萌芽
1 大正時代の女性が考えたDK
良妻賢母は堅持しつつ:三角錫子邸/憧れの椅子式を妨げた接客本位/そのころアメリカは…/鈴木式高等炊事台/和室中心の同潤会アパート
2 戦前のDK
男子厨房に入るべし・浜口ミホの主張/浜口が範としたヴォーン・キュッヘ/ヨーロッパの生活最小限住宅/小さな台所に命をかけたドイツの女性建築家/我が国の女性建築家第一号/機能主義とは…/食寝分離論vs転用論/住宅営団/国粋主義という束縛
3 建築家たちの胎動(1945〜1947年)
焦土に立ちて/量産化の試み・プレモス/住宅スタイルブック/復興住宅建設基準/封建性から民主性へ/坪数制限+椅子式=リビング・キッチン/女性の地位とヴォーン・キュッヘ/能率性からの食と寝の分離・本城和彦/公団DKとヴォーン・キュッヘとの類似性/国会討論/住宅の日本的機能主義とは…

第2章 DK誕生
1 机上の最小限住宅(1948年)
『新建築』コンペ入選作の変遷/審査員,池辺陽・清家清が果した役割
2 リビング・キッチン全盛(1949〜1951年)
『日本住宅の封建性』/日本版リビング・キッチン/自邸を発表しなかった建築家のプライド/小さな家の実例にみるDK/坪数制限令解除・持家主義政策/池辺陽の立体最小限住居/和室のリベンジ
3 アメリカの戦後
戦勝国の住宅政策/漫画「ブロンディ」/ディペンデントハウス/アメリカの台所
4 集合住宅の遅々たる歩み
戦前の鉄筋コンクリートアパート/戦後初の鉄筋コンクリートアパート/集合住宅のコンペ案(1949年)/セミオープン型DK登場・国鉄アパート/公団型DK登場・日本放送協会家族寮,他/公営住宅51C型/RC52型・東郷台公務員住宅/『主婦之友』に紹介されたリビング・キッチン
5 公団2DKの真の母は…
日本住宅公団設立/公団2DKの母は公務員住宅/和製英語「ダイニング・キッチン」誕生/そのとき食寝分離論は…/公団発足当初のDKとリビング・キッチン/2DKの人気と不満/椅子式生活の定着/公団DKの波紋・DKのエジソンたち/DKのルーツ

第3章 日本住宅の貧困と因襲に挑んだ浜口ミホ
1 公団ステンレス流し台
奥さん回りの改革/ポイントシステムか,流れ式か…/台所に立たない女の勘の勝利/ステンレス流し台開発/DKの完成=悲願・量産化の達成
2 豊かさをめざした戦後10年
北海道初のDK/農家の封建性/ミホ館・プレモスの邸/『主婦の友』にみる女性の住意識/台所改革に貢献した女性雑誌/公団以前のステンレス流し台/ポドコ・建築界で生きる女性たち/日本の貧困に挑む
3 作品主義より人間主義
機能主義と有機主義・遠藤新が反面教師/住まいは生活の器/モダンリビングへの警鐘/建て売り住宅/林さんのような設計はできない
4 終焉
スペイン別荘地計画/『日本住宅の封建性』は若気の至りだったのか/畳の美・ブラックボックスに灯がついた/回游魚

小伝・浜口ミホ
女性建築家の条件/大連が育てた住宅感/敬愛する父/二人の母/住居学との出会い/男女七歳にして…/合理的結婚観

参考文献/浜口ミホ・略年譜/浜口ミホ・作品から
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