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橋本直樹著 |
B6・266頁 / 2420円 発行年月日 : 1998年4月 ISBN : 4-7655-4412-5 |
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【美本ございません】 古代エジプト以来の長い歴史をもつビールだが,その味や匂いに科学のメスが入るようになってから,まだ,たかだか50年ほどである.人々の好みのほうも,ライトビールやドライビール,地ビールの登場などで多様化している.本書は,ビールのおいしさの秘密に迫る書で,長年,味づくりの面からビールの研究に携わってきた著者が,ビールの歴史,味や匂いの特徴や変遷,香味成分,醸造法,人間の嗜好の動向といったさまざまな観点から,科学的にわかりやすく語る読み物である.ビール好きにはもちろん,ビールづくりにかかわる方々にも,おおいに参考になるものと思われる.
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第1話 よみがえる古代エジブトビール 五千年の昔に誕生/パンからつくったエジプトビール/麦芽パンを白然発酵させて/ホップを知らなかった/泡の立たないハーブビール/ビールに乳酸菌が繁殖して 第2話 わが国ビールづくり事始め コープランドのビールエ場に先駆けて/オランダ渡来のビールはなかった?/わが国化学の祖・川本幸民が/化学新書に記載されたビール酸造法/川本幸民の醸造したビールは
第3話 ビールの黙示録 遠祖はエジプトが出自/ホップがビール一族を興す/麦はビール一族の血と肉/上面発酵ビールは歴史のある名族だが/世界を制覇した傑作・ピルセンビール/ビールは氏か育ちか/ヌーベル・セルボワーズを求めて
第4話 現代のビールづくり 大麦を発芽させて麦芽に/麦芽を仕込んで麦汁にする/発酵・そして熟成/瓶(缶)に充填する前に
第5話 ビールの匂い ビールの匂いは穏やか/発酵により生成する匂い/原料から移行する匂い/ビールの変性臭
第6話 ビールの味 ビールの味とは/ビールの呈味成分/味の「こく」と「きれ」/銘柄の味を飲み分ける
第7話 ラガーリングの謎 ラガーリングの登場/ラガーリングで熟成する香味/ビールを早く熟成させるには/ラガーリングが退場する
第8話 バイオリアクターによるビール醸造 バイオリアクターをビール醸造に使うと/ビール醸造は三槽式バイオリアクターで/バイオリアクターの実用に向けて
第9話 ビールの苦味を科学する ホップより苦味を引きだす/快い苦味を演出する/ビールの苦味は弱くなった/苦味なければ泡もなし/苦味はいたずらをする
第10話 ビールの色は味のバロメーター ビールも「いろいろ」ありまして/ビールの色はメラノイジンが主役/色で判断できる香味の劣化
第11話 泡はビールをおいしくする ビールの泡は伊達でない/ビールを上手に注ぐには/ビールの泡が消えにくいのは/よい泡をつくりだすために
第12話 ビールの香味地図 ビールの官能検査法/使いやすい検査用語/「感じる」「感じない」心理を計量/ビールの香味はハーモニー/香味特徴を化学分析値で予測/ビール香味をデザインする
第13話 ライトビールの登場 ビールの味は変遷する/ニューフェイス「ライトビール」/ライトビールの醸造方法/キリンビールライトの香味設計
第14話 ビールの「こく」と「きれ」 「こく」と「きれ」とは/ビールの味のライト化傾向/日本酒もワインも軽快・すっきり志向/ビール商品を「こく」と「きれ」で分類すると
第15話 「生ビール」にまつわる期待と誤解 「生ビール」商品の普及/パストリゼーションの退場/生ビールとは/パストリゼーションで味は変わるか/「生ビール」は生ビールらしく
第16話 ビールはイメージ商品時代 情報がもたらしたビールの多様化/宣伝がつくりだしたライトビール/「生ビール」は情報がつくりだした虚像/情報でヒットしたドライビール/「全麦芽」はリッチイメージ商品/ラガービール・イメージの復活/ミニブルワリーは地域情報/イメージ商品時代に対処する
第17話 ビール事情は様変わり 新製品が多様化市場をつくる/飲むより楽しむのがニュートレンド/イメージ商品化して大ヒット/缶ビールが増えている/ビールは夏だけの商品でなくなった/女性のビール飲用率は倍増/健康社会にはビールがぴったり
第18話 ビールづくりのルネッサンス 工業化で失ったビールの個性/突然訪れたルネッサンス/最近の新製品の味は/過熱しすぎた新製品づくり
第19話 ミニブルワリー繁盛記 モノ・カルチャーを脱する日本のビール/ピルセンビール・タイプ全盛の陰に/見なおされる上面発酵ビール/ビールの味は人間がつくる
第20話 地ビールに期待するもの ビール醸造のバリエーション/日本のビールの歴史は短い/ビールのあるアメニティー
第21話 ビールの「おいしさ」工学への道 「おいしさ」の謎を追って/ビールの香味成分の働き/ホップの苦味は九十成分/ラガーリングを短縮する/日光臭と酸化臭の謎を解く/香味地図で味を設計/味覚センサーで味を測る
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