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書籍詳細
 
技術者の倫理
−循環型社会に向けた技術者の責務と責任−
熊谷浩二・高橋康造編
B5・178頁 / 1980円
発行年月日 : 2006年6月
ISBN : 4-7655-4122-3
 

内容紹介
技術者は、製品開発・製造の専門職として、その責任と倫理的な責務を果たさなければならない。度重なる企業不祥事が発覚し、さまざまな価値が衝突する現代社会の中で、技術者のための倫理的な指針を提起し、「自律的に」判断するための材料を提供する。技術者としての倫理意識を真に覚醒させる本。
 
目次
第1編 技術を取り巻く現状とその分析

1 相次ぐEU環境規制

 1.1 EU指令と法規制
   1.1.1 質・量とも拡大するEU規制
   1.1.2 対応に追われる日本企業
 1.2 BSEと食の安全
   1.2.1 イギリスでの惨劇
   1.2.2 EUとアメリカとの対立――食の安全をめぐって
   1.2.3 信頼の尺度
 1.3 規制の背後に原則
   1.3.1 持続可能性が第一原則
   1.3.2 持続可能性と予防原則

2 企業不祥事に対する社会の厳しい視線

 2.1 現代の技術の動向と技術者の責務
 2.2 企業不祥事はかねてよりあったが……
   2.2.1 一般市民の意識の変化
   2.2.2 スーパーの棚から商品すべて撤去
 2.3 内部告発の是非
   2.3.1 内部告発法制化の動向
   2.3.2 内部告発の結末
   2.3.3 CSR(企業の社会的責任)の試み

 事例研究 東京電力トラブル隠し
 1 はじめに
 2 東京電力トラブル隠し
   2.1 トラブル隠しの概要
   2.2 トラブル発覚の経緯
   2.3 トラブルを隠したのはなぜか
 3 東電トラブルから学ぶこと
 4 企業倫理麻痺の段階に個人としてやれること
 5 初期段階でくい止める試み
 6 おわりに

3 技術を取り巻く世界の現状

 3.1 グローバリゼーション
   3.1.1 製品・技術は国境を越える
   3.1.2 廃棄物,有害物質も国境を越える
   3.1.3 通貨も世界を巡る
   3.1.4 技術は文化を変える
 3.2 新興国の台頭
   3.2.1 物的な豊かさを求めて
   3.2.2 矛盾の中での右肩上がり
 3.3 資源の需給状況
   3.3.1 “世界の工場”中国が攪乱要因
   3.3.2 原油埋蔵量の偏りと産油国の政治的不安定
   3.3.3 資源の争奪戦
 3.4 WTO体制の危機
   3.4.1 セーフガードで輸出不可能に
   3.4.2 環境規制,遺伝子組み換え生物・食品で欧米対立
   3.4.3 自由貿易協定と経済ブロック化の懸念
   3.4.4 最低限のルール作り急務
 3.5 その他技術をめぐる今日の状況
   3.5.1 労働の需給動向
   3.5.2 南北問題と地域紛争

第2編 法令遵守と技術者の倫理

1 技術者と法令

 1.1 技術者は法令遵守だけで充分か
   1.1.1 法律は完全ではない
   1.1.2 法律は後追い
 1.2 法令遵守は最低限の責務
   1.2.1 コンプライアンスを超えて(日経連の「憲章」)
   1.2.2 令の存在理由

2 技術者と倫理綱領

 2.1 米国の倫理綱領の中の技術者
   2.1.1 NSPEの倫理綱領
   2.1.2 NSPE倫理綱領の目的
   2.1.3 NSPE倫理綱領の変遷概観
   2.1.4 綱領の法的性格
 2.2 日本の学協会にみる倫理綱領
 2.3 欧州の技術者倫理綱領
   2.3.1 ドイツの技術者(工学専門職)の倫理
   2.3.2 フランスの技術者(工学専門職)の倫理綱領
   2.3.3 欧米の技術者倫理綱領比較

3 製造物責任

 3.1 米国の製造物責任法
   3.1.1 “訴訟社会”アメリカ
   3.1.2 訴訟頻発の背景
   3.1.3 アスベスト訴訟――日米比較
   3.1.4 米国における日本製品の製造物責任訴訟
   3.1.5 米国PL法の概要とその意義
 3.2 欧州製造物責任法
 3.3 日本の製造物責任法
   3.3.1 日本のPL法の概要
   3.3.2 日本のPL法の特徴

4 安心・安全のコスト

 4.1 “売りっぱなし”はもはや許されない
 4.2 トレーサビリティ(Traceability)

5 知的財産の保護

 5.1 最近の知的財産権に関する係争
 5.2 「知的財産立国」日本
 5.3 国際競争下の知的財産権をめぐる争い
 5.4 情報化社会とその陥穽
   5.4.1 情報化社会の光と影
   5.4.2 個人情報保護法

 事例研究 情報技術者の責務と倫理
 1 情報技術者の職責の重要性
 2 情報技術特有の倫理問題
 3 コンピュータのプログラム/プログラマに関すること
   3.1 プログラムのコピー問題
   3.2 プログラマの不正行為
 4 情報ネットワークに関すること
   4.1 インターネットで不特定多数の人に情報発信することに関係する問題
   4.2 インターネットを利用した不正行為
   4.3 ウイルス配送/他のコンピュータへの侵入
 5 事例研究
   5.1 一般的な技術者倫理が問われる事例
   5.2 コピー問題
   5.3 プライバシーにかかわる問題
   5.4 非常識な情報の発信例
 参考資料1 著作権早わかり
 参考資料2 情報処理学会倫理綱領

6 組織における技術者の倫理

 6.1 組織の自己防衛
 6.2 自己増殖する組織の論理――常識からの乖離
   6.2.1 自動車のリコール制度
   6.2.2 三菱ふそうリコール隠し
   6.2.3 組織の論理の破綻
 6.3 告発者保護のための法整備とその実効性
 6.4 CSRへの取り組み
   6.4.1 ISOへの取り組み
   6.4.2 ISOに新規格

第3編 持続可能性と技術者の責務

1 かけがえのない地球(資源・エネルギー問題)

 1.1 カタストロフィー(破局)
   1.1.1 「成長の限界」
 1.2 資源・エネルギー問題
   1.2.1 化石燃料価格の高騰
 1.3 地球の“共有財産”の危機
   1.3.1 指数関数的な増大

2 持続可能性と技術者の責務

 2.1 貧困ゆえに環境を破壊
 2.2 持続的発展の理念
   2.2.1 トレード・オフ
   2.2.2 「持続可能性」の定義
   2.2.3 「持続可能性」の意義

3 予防原則を考える

 3.1 EU環境庁報告(2001)
 3.2 ヨナスにみる現代技術の本性
 3.3 遺伝子組み換え作物・生物の安全性
   3.3.1 ユニヴァーサル・デザイン
 3.4 現代の技術と実験台としての人間または自然
   3.4.1 社会的“実験”としての工学技術
   3.4.2 社会的実験としての技術
   3.4.3 不可測ゆえに予防策を講じる――東京大気汚染訴訟
   3.4.4 事故の“未然防止”とその事例
   3.4.5 予防原則の問題点

 事例研究 生命工学,遺伝子工学における技術者の責務と倫理
 1 ヒトゲノム解読完了
 2 ビジネスと結びついた遺伝情報
 3 遺伝子特許と生命倫理
 4 遺伝子は誰のものか
 5 バイオ研究全体の枠組みと技術者倫理

4 京都議定書とその精神

 4.1 気候変動の現状
 4.2 京都議定書成立から発効までの経緯
 4.3 議定書の概要
   4.3.1 温暖化ガス削減義務の数値化
   4.3.2 クリーン開発メカニズム
   4.3.3 日本の対策
 4.4 議定書の意義
 4.5 議定書にみる技術の責務

5 循環型社会への取組

 5.1 ゴミ・廃棄物の問題
   5.1.1 産業廃棄物の不法投棄
   5.1.2 EUの廃車指令
   5.1.3 ゼロ・エミッションとグリーン調達
   5.1.4 拡大生産者責任
 5.2 経済合理性と持続可能性に対する責務
   5.2.1 資源の枯渇の前に
   5.2.2 再生可能エネルギー
   5.2.3 エコ・ビジネスへの展望
 5.3 循環型社会における技術者
   5.3.1 循環型社会推進基本法
   5.3.2 途上国への環境技術,リサイクル技術移転急務
   5.3.3 循環型社会の成員としての技術者

 事例研究 建築分野の技術者倫理
 1 はじめに
 2 建築分野の仕事
 3 建築基準法の理念
 4 建築憲章の理念
 5 生活環境の性能
 6 建築の改修再生
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