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野池達也編著 |
A5・284頁 / 4180円 発行年月日 : 2009年5月 ISBN : 978-4-7655-3440-6 |
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メタン発酵法は,下水汚泥,生ごみおよび家畜排泄物等の廃棄物系バイオマス中の有機物を嫌気性細菌によって分解し,安定化・減量化すると共に,バイオガスエネルギーを生産できる点で,循環型社会の形成および地球温暖化防止の役割を確実に果たす,優れた処理方法である。メタン発酵法が広く普及し活用されることを目的に,その基礎から実施例を含む応用までをまとめ詳述した。初学者,研究者,実施設に携わる技術者等に好適な書。
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第1章 メタン発酵の研究と開発の歴史 1.1 地球環境保全および循環型社会の形成におけるメタン発酵の意義 1.2 メタンの発見 1.3 微生物反応によるメタン生成 1.3.1 初期的認識 1.3.2 二段階説と科学的解析の発展 1.3.3 二相四段階説の確立 1.4 プロセスの開発 1.4.1 嫌気性消化プロセスの誕生 1.4.2 分離型消化タンクと加温技術の導入 1.4.3 連続撹拌による高率消化 1.4.4 メタン発酵槽の工夫 1.4.5 生ごみのメタン発酵 1.5 日本におけるメタン発酵の歴史 1.5.1 普及の始まり 1.5.2 下水汚泥処理 1.5.3 し尿処理 1.5.4 工場排水処理 1.5.5 汚泥再生処理センターによるし尿・生ごみの混合処理 1.5.6 家畜排泄物処理
第2章 メタン発酵プロセスの科学 2.1 投入有機物の組成分析によるメタン転換率の簡易的推定 2.1.1 元素組成の利用 2.1.2 COD収支の利用 2.1.3 VS成分の利用 2.1.4 VS成分とCODの換算 2.1.5 活性汚泥モデルの利用 2.2 メタン発酵プロセスにおける三菌群関与説と二相四段階説の位置づけ 2.3 物質変換の概要 2.3.1 微細化反応 2.3.2 加水分解反応 2.3.3 酸生成反応 炭水化物/タンパク質/脂質/酸生成反応の速度式 2.3.4 異種間水素伝達反応 微生物反応と熱力学の接点/異種間水素伝達反応におけるGibbsエネルギーの考え方/水素分圧と反応の進行の関係/異種間水素伝達反応の速度式/水素と蟻酸の関係 2.3.5 メタン生成反応 メタン生成反応の速度式/メタン生成細菌の種間競合 2.3.6 その他の嫌気性微生物反応 硫酸塩還元反応/嫌気的酢酸酸化反応/ホモ酢酸生成反応 2.3.7 微生物の死滅と再増殖 2.3.8 温度の影響 2.4 関連の物理化学定数 2.4.1 平衡定数 2.4.2 ヘンリー定数 2.4.3 総括物質移動定数
第3章 様々なメタン発酵プロセス 3.1 メタン発酵プロセスの分類 3.2 完全混合法 3.2.1 プロセスフロー ガス撹拌/機械撹拌/複合撹拌/無動力撹拌/ポンプ循環 3.2.2 特徴と留意点 メタン発酵槽/撹拌設備/加温保温設備 3.3 嫌気性接触法 3.3.1 プロセスフロー 3.3.2 特徴と留意点 3.3.3 適用例 通常法/改良法 3.4 嫌気性濾床法 3.4.1 プロセスフロー 3.4.2 特徴と留意点 3.5 嫌気性流動床法 3.5.1 プロセスフロー 3.5.2 特徴と留意点 3.6 UASB法とEGSB法 3.6.1 プロセスフロー UASBリアクター 3.6.2 特徴と留意点 リアクター容積/三相分離装置/UASB法の適用事例とEGSB法への進歩 3.7 乾式メタン発酵 3.7.1 プロセスフロー 縦型の乾式メタン発酵槽/横型の乾式メタン発酵槽 3.7.2 特徴と留意点 3.8 二相プロセス 3.8.1 プロセスフロー 3.8.2 特徴と留意点 動力学的制御法/物理化学的制御法/二相プロセスの適用/二相プロセスの性能 3.9 その他のメタン発酵プロセス
第4章 プロセスの制御因子 4.1 温 度 4.2 滞留時間(HRTおよびSRT) 4.3 有機物負荷 4.4 撹拌および混合 4.5 pH,アルカリ度と揮発性有機酸濃度 4.6 基質組成(C/N比)とアンモニア阻害 4.7 重金属等による阻害と反応の促進
第5章 メタン発酵槽の運転管理 5.1 メタン発酵プロセスの立上げ 5.1.1 種汚泥の導入 5.1.2 運転管理指標 5.1.3 定常状態までの馴致 5.1.4 不安定状態の原因 5.2 槽負荷とバイオガス発生量 5.3 有機酸の蓄積と酸敗対策 5.4 安定運転のための管理項目
第6章 廃棄物系バイオマスのメタン発酵 6.1 下水汚泥 実施例:横浜北部汚泥資源化センター 6.2 生ごみ 実施例:中空知衛生施設組合 6.3 家畜排泄物 実施例:酪農学園大学 6.4 草木植物 6.5 混合物 実施例:カンポリサイクルプラザ・珠洲市浄化センター 6.6 その他の有機物
第7章 バイオガスの有効利用 7.1 消化ガスの成分と熱量価 7.2 消化ガスの利用 7.2.1 消化タンクの加温 7.2.2 管理棟の空調 7.2.3 都市ガス 7.2.4 自動車燃料 7.2.5 消化ガス発電 7.2.6 燃料電池による発電 7.3 バイオガスの精製 7.3.1 硫化水素の除去 7.3.2 二酸化炭素の除去 7.3.3 シロキサンの除去 7.4 コージェネレーション 7.4.1 ガス発電システムの熱収支計算モデルの概要 7.4.2 熱収支計算結果の例 7.4.3 コージェネレーションシステムを確立するための条件
第8章 メタン発酵に関わる問題点と対応策 8.1 メタン発酵システムの基本構成と主要問題点の整理 8.2 高濃度高温メタン発酵による高効率化 8.3 アンモニア性窒素の蓄積と阻害に対する対応 8.4 消化液の処理 8.4.1 液肥利用 8.4.2 水処理 8.4.3 下水道放流 8.4.4 消化液中の窒素およびリン除去 窒素除去の新技術/晶析法によるリン除去 8.4.5 分離消化プロセス
第9章 水素発酵プロセスの可能性 9.1 嫌気性細菌による水素発酵 9.1.1 水素生成の原理 9.1.2 嫌気性水素生成細菌 Clostridium属/Enterobacter属/混合系による水素発酵 9.1.3 プロセスの運転条件 温度/滞留時間/pH/水素分圧 9.2 水素発酵プロセスの効率 9.2.1 原 料 9.2.2 リアクター 9.2.3 回収エネルギーの試算 9.3 水素・メタン二相プロセス 9.4 水素発酵に関わる安全管理
第10章 メタン発酵の課題と展望 10.1 バイオマス・ニッポン総合戦略への期待 10.2 輸送用燃料としてのバイオガスの二酸化炭素削減力の卓越性 10.3 LOTUS プロジェクトへの期待 10.4 日本における普及のための課題 10.5 機能拡大に対する期待 10.5.1 下水道による厨芥生ごみの資源回収 10.5.2 メタン発酵を組み入れたバイオエタノール生産システム 10.5.3 バイオガスからの水素生産 10.5.4 有機塩素化合物の分解 10.5.5 農村活性化の道 10.5.6 地球環境保全におけるメタン発酵の位置づけ
<付 録> 付録A メタン発酵の生物学的アプローチ 付A-1 C 源とエネルギー源の種類に着目した細菌のグルーピング 付A-2 電子受容体の種類に着目した細菌のグルーピング 付A-3 電子供与体の酸化反応に着目した細菌のグルーピング 付A-3.1 発 酵 付A-3.2 呼 吸 付A-3.3 発酵と呼吸における水素(電子)の処理 付A-4 嫌気的環境に生育する微生物の群集構造 付A-4.1 メタン発酵槽の細菌叢 付A-4.2 真正細菌の種 付A-4.3 メタン生成細菌の種 付A-5 分子生物学的解析の意義
付録B メタン発酵の数学的アプローチ 付B-1 数学モデルの種類 付B-1.1 ブラックボックスモデル 付B-1.2 ホワイトボックスモデル 付B-1.3 グレーボックスモデル 付B-2 数学モデルの作成における留意点 付B-2.1 収支が成り立つ変数の利用 付B-2.2 モデルの作成手順と考え方 付B-2.3 物質収支と速度論に基づいた表の作成 付B-2.4 パラメータの把握
付録C メタン発酵の化学的アプローチ 付C-1 基質分解と細菌増殖の関係 付C-2 菌体の元素組成 付C-3 酸化還元反応 付C-4 菌体の生成 付C-4.1 最大収率の理論 付C-4.2 維持代謝反応の理論 付C-4.3 最大比増殖速度と親和定数の理論
付録D ガス発電システム熱収支計算モデルの詳細 付D-1 発生汚泥量,VS量の季節変動の設定 付D-2 モデル消化タンクの諸元の決定 付D-3 返流負荷のモデルへの組込み 付D-4 モデル消化タンクの加温必要熱量の計算 付D-5 消化ガス発生量 付D-6 発電量・廃熱回収量の計算
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