自然システムを利用した水質浄化 −土壌・植生・池などの活用− Ｓ．Ｃ．Ｒｅｅｄほか著／石崎勝義・楠田哲也監訳 A5・450頁 / 8800円 発行年月日 : 2001年8月 ISBN : 4-7655-3176-7 土地の広さなどの制約条件はあるものの，自然システムを利用する水質浄化は，コストやエネルギーの節約ばかりでなく，運用の容易さの面においても優れた方法であり，とくにアメリカでは広く活用されている．本書は，機械的要素になるべく頼らず，自然の構成要素に最大限に依存する水質浄化プロセスの基礎的な知識と，そのような自然システムを利用した水質浄化施設（汚水と汚泥の双方）の計画・設計・建設・運用について解説する書．既存施設の処理水の水質データを豊富に盛り込むとともに，処理水量から必要な土地や水面の面積を概算する方法を示したり，設計手順を実例をまじえながら詳細に述べるなど，きわめて実務的に解説されている．   第1章　水質浄化のための自然処理システム 1．1　自然処理システム 背景／浄化技術と処理性能 1．2　計画作成 第2章　計画・実行可能性・用地選定 2．1　手法評価 必要情報／必要土地面積の推定 2．2　用地選定 選定手順／気候／洪水に対する配慮／水利権 2．3　用地評価 土壌調査／浸透と透水性／緩衝地帯 2．4　用地とプロセス特定 第3章　基本的なプロセスと相互作用 3．1　水の制御 基本式／汚濁物質の動き／地下水マウンド／排水による地下水位低下 3．2　生分解性有機物 BOD除去／懸濁物質除去 3．3　有機汚染物質 除去方法／除去性能／土中移動時間 3．4　病原体 水圏利用システム／湿地処理／土壌処理／汚泥処理システム／エアロゾル 3．5　金属 水圏利用システム／湿地処理／土壌処理 3．6　栄養塩類 窒素／リン／カリウム・他の微量栄養塩類 第4章　汚水安定池 4．1　一次処理 4．2　通性嫌気性安定池 面積負荷法／Gloyna式／完全混合モデル／押出し流れモデル／Wehner−Wilhelmの式／モデル比較 4．3　部分混合曝気式安定池 設計モデル／池の形状／混合と曝気 4．4　放流制御型安定池 4．5　無放流型安定池 4．6　組合せ安定池 4．7　嫌気性安定池 4．8　病原体除去 4．9　懸濁物質除去 間欠式砂ろ過床／マイクロストレーナ／砕石ろ層／他の固液分離技術 4．10　窒素除去 4．11　リン除去 回分式化学処理／連続放流系薬品処理 4．12　施設設計と施工 土手／池の遮水／水理特性 4．13　土壌処理のための貯留池 第5章　水圏利用システム 5．1　浮遊植物 ホテイアオイ／ウキクサ 5．2　沈水植物 性能／設計配慮事項 5．3　水生動物 ミジンコとブラインシュリンプ／魚類／海洋養殖 第6章　湿地処理 6．1　はじめに 自然湿地／湿地回復と機能向上／人工湿地／設計コンセプト 6．2　湿地構成要素 植物／抽水・沈水・浮葉植物／蒸発散量／酸素移動／植物多様性／植物機能／土／微生物 6．3　期待される処理性能 BOD／懸濁物質／窒素／リン／金属／有機汚染物質／病原体 6．4　概略的設計手順 6．5　水理学的設計手順 表面流湿地／伏流湿地 6．6　温度の様相 伏流湿地／表面流湿地 6．7　BOD除去の設計 表面流湿地／伏流湿地／前処理 6．8　懸濁物質除去の設計 6．9　窒素除去の設計 表面流湿地／伏流湿地／硝化ろ過床 6．10　リン除去の設計 6．11　オンサイトシステム設計 6．12　鉛直流湿地床 6．13　湿地利用 生活・都市・事業所排水／雨水流出水／合流式下水道越流水／農地流出水／畜産排水／埋立地浸出水／鉱山排水 6．14　必要条件 ライニングと基盤処理／植生／流入口・放流口構造／費用 6．15　維持管理 植生／蚊駆除 第7章　土壌処理 7．1　処理法の種類 緩速浸透法／表面流下法／急速浸透法 7．2　緩速浸透法 設計目標／一次処理／必要土地面積／システム管理・モニタリング　等 7．3　表面流下法 設計目標／用地選定／必要土地面積／放流水回収／システム維持管理・モニタリング　等 7．4　急速浸透法 設計目標／処理性能／水量負荷／必要土地面積／システム管理・モニタリング　等 第8章　汚泥処理 8．1　汚泥量・質 自然処理システム発生汚泥／浄水場発生汚泥 8．2　安定化と脱水 病原体削減方法 8．3　汚泥凍結 影響／必要事項／設計手順／施設と作業手順 8．4　リードベッド法 植物機能／設計必要事項／処理性能／利点／汚泥の質 8．5　ミミズを使った安定化 ミミズの種類／負荷基準／手順と処理性能／汚泥の質 8．6　ろ床型施設の比較 8．7　コンポスト化 8．8　土壌還元と処分 コンセプトと敷地選定／土壌還元のコンセプト／処分システム設計 第9章　オンサイト汚水処理 9．1　種類 9．2　設置場所の評価 予備調査／詳細調査 9．3　オンサイト処理 腐敗槽／イムホフタンク／油脂分離／間欠砂ろ過床／循環型細礫ろ床／窒素除去方式／プレハブ式装置 9．4　排出方式 重力式地中浸透／加圧式配水／土の交換・追加／中間法／盛土浸透／人工地下水位低下／植物蒸発散作用活用 9．5　管理