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山崎寿一著 |
B5・216頁 / 4848円 発行年月日 : 2018年2月 ISBN : 978-4-7655-2606-7 |
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集落は,農山漁村地域や伝統的な町並みを構成する生活空間の基本単位であり,建築・地域の計画学にとって,きわめて魅力的な存在である。本書では,震災からの復興集落に内在する地域社会(イエやコミュニティ)の持続力を解き明かし,その論理を持続社会の構築に活かしうるモデルとして示す。1編では2編の理論的土台として,設計科学としての集落研究について考察,2編では能登半島地震における被災集落研究をする。
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序説 設計科学と計画学―建築・設計・計画― はじめに I 学術のパラダイム転換と設計科学の登場 1 学術・社会・計画の転換期 2 設計科学としての計画・設計 II 都市計画論・建築設計論と学術研究 1 ハワードの田園都市論は学術研究か 2 建築家・菊竹清訓の設計方法論の再評価 III 設計科学としての建築設計論への期待 1 建築学は生活空間の創造を目標とする学問である 2 建築作品の解釈と学術論文の評価軸 3 設計科学としての建築設計論への期待 4 文脈の読み取りから建築設計論へ 5 三分一博志「直島ホール」を解釈する
1編 設計科学としての集落研究と集落モデル
1章 生活環境計画における集落のモデル性 はじめに I 私の学位論文 1 学位論文の目的と構成 2 地域主体と集落域の基本概念 3 集落域の空間概念の計画学的意義 最後に II 研究の意義とオリジナリティ 1 集落研究の現代的意義とモデル性 2 研究課題の設定と研究方法 3 研究の着眼点・問題意識:博士論文執筆時(1992年当時) 4 研究のオリジナリティと特徴
2章 集落空間モデル I 集落空間の概念モデル 1 集落空間の実体・認識・モデル 2 集落空間モデルを巡る基本問題:地井昭夫の計画モデル論 II 集落空間の認識とモデル図 1 諸学の集落空間モデル 2 『図説 集落』における集落空間の認識と分類 3 集落空間の認識から計画へ
3章 集落モノグラフィー:四国山村・中久保―共同性の空間構造― はじめに 1 中久保集落の概要と集落の魅力 2 集落空間の三つの位相空間 3 集落空間の分析方法 4 集落空間の構成と空間モデル:中久保集落の多様な社会組織と集落としての統一の仕組み 5 三つの位相空間の統一と集落土地利用秩序 6 集落生活の広域化と集落土地利用秩序の変容 最後に
4章 集落モノグラフィー:奥能登・上大沢―生活環境形成の論理― はじめに 1 上大沢集落の地域概要 2 集落域レベルの空間構成 3 土地利用の複合性と関係性 4 集落レべルの空間構成と住居配置 最後に
2編 能登半島地震・被災集落研究
序 ルーラル・サステイナビリティ I 集落と居住の持続性に関する地域計画的研究 1 研究の土台と着眼点 2 被災集落研究の2つの側面 II 集落と居住の持続性の概念―ルーラル・サステイナビリティの論理― はじめに 1 現状認識―現代は非持続的社会 2 サステイナビリティの概念と2つの課題 3 居住を核としたルーラル・サステイナビリティ 4 まとめ
1章 震災復興の地域性と社会・空間構造 1 研究の目的と方法 2 研究対象地域の概要と地域特性 3 道下集落の持続性――中世・近世の道下と現代のつながり 4 道下集落の社会構造と住まい・まちづくり協議会 5 まとめ
2章 伝統的空間構造と住宅・集落復興 1 研究の目的と方法 2 道下集落の伝統的空間構造 3 道下集落における被災状況と住宅復興 4 屋敷地の従前土地利用と復興住宅 5 まとめ
3章 通世代定住と空地問題―『昭和絵図』以降の集落変容と居住動向に着目して― 1 研究の目的と方法 2 昭和絵図以降の居住動向と集落空間の変容 3 震災後の空地の実態──現住世帯と非現住世帯別の分析 4 空地の管理・活用 5 結 論 6 今後の展望
4章 生活文化・拡大家族のための住宅とその論理 1 はじめに 2 夏祭りと集落空間の関係 3 復興住宅の特徴と生活文化の関係 4 まとめ
5章 復興住宅施策と災害公営住宅の役割 1 はじめに 2 住宅復興施策の展開 3 道下集落の住宅復興と松風台災害公営住宅の実態 4 まとめと今後の研究課題
結びにかえて 復興集落の持続力 震災10年後の振り返り 1 研究の出発点 2 第2 編の問題意識と構成 3 地域崩壊のシナリオとその逆説 4 震災10年後の道下の変化 5 集落と居住の持続性を展望する 結 語
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