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中村孝明・宇賀田健著 |
A5・302頁 / 3520円 発行年月日 : 2009年1月 ISBN : 978-4-7655-2529-9 |
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確率・統計論,確率過程など,確率の基礎数理について詳しく説明するとともに,地震工学,構造信頼性,システム信頼性に軸足を置きつつ,耐震工学や構造力学,企業財務や金融論など,地震リスク評価およびリスクマネジメントに必要な要素技術についても網羅して解説した書。分野独自の解析方法やモデルについて,地震リスク評価という視点から,それぞれの関連性や整合性を把握できるよう,関連立てて記述している。また,重要かつ難解な定式化は,途中を省略せずできるだけ詳細かつ平易に記すよう配慮しており,技術者や研究者のみならず学生にも読みやすい書となっている。
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第1章 リスクマネジメントの概念
1.1 リスクとリスクマネジメント 1.1.1 リスクの視点 1.1.2 能動的リスクと受動的リスク 1.1.3 可逆的リスクと非可逆的リスク 1.1.4 集積リスクと分散リスク 1.1.5 リスクと蓋然事象 1.1.6 リスクマネジメントと知の循環 1.2 リスクの定量化 1.2.1 変動リスクと純粋リスクの分類 1.2.2 純粋リスクの定量化 1.2.3 変動リスクの定量化 1.3 蓋然性とリスクマネジメント 1.4 ライフサイクルコストと供用期間のリスクカーブ 1.4.1 地震リスクのLCC 1.4.2 供用期間のリスクカーブ 1.5 割引現在価値 1.5.1 割引の概念 1.5.2 LCCの割引 1.5.3 DCF法 1.6 事業継続計画とリスクマネジメント 1.7 リスク評価に関わる要件 1.7.1 リスク情報の要件 1.7.2 地震リスク評価手法の要件
第2章 確率の基礎数理
2.1 事象と確率 2.1.1 標本空間と事象 2.1.2 事象の組み合わせ 2.1.3 種々な事象 2.1.4 ド・モルガンの定理 2.1.5 確立の3公理 2.1.6 確立の基本演算 2.1.7 全確立の定理 2.1.8 独立事象の確率 2.1.9 相関事象の確率 2.2 確率分布と特性値 2.2.1 確率分布 2.2.2 特性値 2.3 主な確率分布 2.3.1 正規分布 2.3.2 対数正規分布 2.3.3 β分布 2.3.4 ワイブル分布 2.3.5 ポアソン分布 2.3.6 指数分布 2.4 同時確率分布 2.4.1 同時分布関数と周辺密度関数 2.4.2 共分散と相関 2.4.3 条件付平均値と条件付分散 2.5 確率変数の関数 2.5.1 単一の確率変数の関数 2.5.2 2変数の関数 2.5.3 多変数の関数 2.5.4 線形関数の平均値と分散 2.5.5 一般の関数の平均値と分散 2.6 確率変数の和と差 2.6.1 特性値解 2.6.2 数値解析的な方法 2.6.3 数値実験的な方法 2.7 相関のある確率変数の和と差 2.7.1 相関係数 2.7.2 特性値解 2.7.3 数値解析的な方法 2.7.4 数値実験的な方法 2.8 積率法と最尤法 2.8.1 積率法 2.8.2 最尤法 2.9 極値の理論 2.9.1 極値の厳密分布 2.9.2 極値理論のリスク評価への応用
第3章 確率過程
3.1 確率過程の利活用 3.2 マルコフ過程 3.2.1 マルコフ性 3.2.2 推移確率 3.2.3 マルコフ連鎖 3.2.4 推移確率行列の評価 3.3 ポアソン過程 3.3.1 指数分布 3.3.2 ポアソン分布 3.3.3 故障確率関数 3.3.4 指数ハザードモデル 3.4 ランダムウォーク 3.4.1 2項過程 3.4.2 出生死滅過程 3.4.3 ランダムウォーク 3.5 幾何ブラウン運動 3.6 ブラウン運動とBPT分布 3.6.1 初到達確率の分布 3.6.2 BPT分布
第4章 地震危険度
4.1 地震危険度評価における地震発生のモデル化 4.1.1 震源位置 4.1.2 地震の規模 4.1.3 地震の発生確率 4.2 地震動強さの評価 4.2.1 距離減衰式 4.2.2 断層モデル 4.3 地震ハザード評価による地震危険度 4.3.1 基本式 4.3.2 距離の確率密度関数の評価 4.3.3 地震規模の確率密度関数の評価 4.3.4 地震動強さの確率密度関数の評価 4.3.5 加速度応答スペクトル 4.3.6 パラメータをひとつに決められない場合 4.4 シナリオ地震による地震危険度 4.4.1 シナリオ地震となり得る地震 4.4.2 あらかじめ地震の位置や規模が特定できない地震のモデル化 4.4.3 地震危険度の評価 4.4.4 地震ハザードとシナリオ地震による地震危険度の相違点
第5章 構造信頼性理論とフラジリティカーブ
5.1 性能関数と損傷確率 5.2 Fragility Curve 5.2.1 変数変換による方法 5.2.2 全確率の定理による方法 5.3 Fragility Curveの統計解析 5.3.1 2項尤度モデル 5.3.2 多項尤度モデル 5.4 不確実性 5.4.1 不確実性の要因 5.4.2 統計解析と不確実性 5.5 Fragility Curve の解析的評価 5.5.1 地盤増幅特性と応答スペクトル 5.5.2 軽微被害の耐力 5.5.3 倒壊耐力の評価 5.6 非線形応答と損傷確率 5.6.1 建物応答の非線形性 5.6.2 地盤の非線形性
第6章 地震リスク評価
6.1 イベントツリー解析 6.1.1 イベントツリー 6.1.2 損失の確率密度関数 6.1.3 施設群の損失確率関数 6.2 フォールトツリー解析 6.3 機能停止期間と復旧曲線 6.3.1 同時復旧の原則 6.3.2 直列システムの停止日数 6.3.3 並列システムの停止日数 6.3.4 復旧曲線 6.3.5 ボトルネック指標 6.4 地震ロス関数 6.5 年損失率関数とイベントリスクカーブ 6.5.1 ターゲット地震と年損失率関数 6.5.2 イベントリスクカーブ 6.6 地震リスクカーブ 6.6.1 地震損失の総和確率関数 6.6.2 地震リスクカーブ 6.6.3 地震との遭遇確率 6.6.4 損失確率関数とリスクカーブの比較 6.7 地震リスクの割引現在価値 6.7.1 割引を考慮したリスクカーブ 6.7.2 割引を考慮した永久期間のリスクカーブ
第7章 ポートフォリオ地震リスク評価
7.1 大数の法則 7.2 分散効果と集積リスク 7.3 被害事象の相関 7.3.1 応答は完全相関 7.3.2 応答は一定の相関 7.3.3 作用地震動の相関係数 7.4 全確率の定理による相関事象の評価 7.4.1 被害の相関係数が同一の建物群の物的損失 7.4.2 被害の相関係数が異なる建物群の物的損失 7.4.3 モンテカルロシミュレーションによる検証 7.5 システム機能の評価 7.5.1 システム機能の喪失確率 7.5.2 相関を考慮したシステム機能の評価
第8章 財務影響分析
8.1 財務諸表 8.1.1 貸借対照表 8.1.2 損益計算書 8.1.3 キャッシュフロー計算書 8.1.4 資本コスト 8.2 業績指標 8.3 財務影響分析 8.3.1 財務影響分析の手順 8.3.2 財務影響分析の具体例 8.4 地震災害の管理会計
第9章 地震リスクマネジメント
9.1 地震対策の検討 9.1.1 さまざまな地震対策 9.1.2 対策の優先性 9.2 金融対策 9.2.1 地震保険 9.2.2 キャットボンド 9.2.3 コンティンジェット・デット 9.3 事業所の緊急停止 9.3.1 緊急停止システムとトリガー 9.3.2 最適トリガーレベルの評価方法 9.3.3 緊急地震速報の利用 9.4 企業価値による費用対効果 9.4.1 地震リスクを考慮した企業価値 9.4.2 ハード対策の費用対効果 9.5 リスクマネジメントの留意点 9.5.1 責任の範囲 9.5.2 意思決定における情緒性
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