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木造住宅の耐震設計 |
−リカレントな建築をめざして− |
樫原健一・河村廣著 |
A5・286頁 / 3520円 発行年月日 : 2007年3月 ISBN : 978-4-7655-2501-5 |
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「木造」はリカレント性(循環・再生)の面で優れており,将来的にも豊かな可能性を秘めていますが,耐震性を考えた場合,現状は安全性が十分とは言えません。本書では,在来軸組構法の建物を対象として,耐震安全性についての考え方,現状の問題点や解決策について述べるとともに,「仕口ダンパー」による耐震設計・補強法を具体的に提示しました。仕口ダンパー(制震ダンパー)による補強法は「限界耐力計算」や実験に裏づけられたもので,しかも施工が容易で経済的なすぐれた工法です。もちろん多くの実績もあります。本書はこれらのことを,実務者だけでなく一般の方々にも理解していただけるように,できる限り分かり易い言葉で説明してあります。「わが家」を耐震補強しませんか。
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序章 耐震セーフティネット 1 社会的セーフティネット 耐震制度設計 構造技術者をめぐる社会ネットワーク ソフトのセーフティネット 2 木造住宅のセーフティネット 耐震補強特性 地震規模と応答 ハードのセーフティネット 3 構造的職能の将来像 性能規定型設計 ソフトとハードのセーフティネット 木造住宅の耐震設計
第1章 阪神大震災からの出発 1 構造設計のパラダイム 直下型地震の衝撃 Economist誌の論調 構造設計のパラダイム 構造技術の転換 2 共通語の獲得へ向けて 専門用語を共通語に 震度とマグニチュード プレート境界型地震と内陸直下型地震 共通語をどのように獲得するか 構造技術者の人脈 構造設計という職能 3 構造設計と性能規定 建築構造の性能について 設計と規定について 「法」の意義---法体系と設計行為について 性能設計を可能にするもの 4 地震風土と耐震設計 イスタンブールの不思議な感覚 風土性とは何か 大阪万博から35年 木造住宅とAuthenticity 耐震技術と環境技術 5 次のビッグ・ワンが来る前に 阪神大震災以後の耐震化状況 既存不適格と耐震性能 伝統構法と現代構法のはざま なぜ耐震改修が進まないか 安全・安心社会への処方箋
第2章日本の伝統的な構法 1 日本の風土と木造軸組 伝統的な構法とは何か 構造力学的な問題点の所在 伝統的な木造軸組に関する研究活動 2 伝統的な木造軸組の構造的特徴 木材の特性 「小屋組」と深い軒先 「柱」と傾斜復元力(桁・斗\UTF{6831}・礎石) 「ほぞ・貫・差鴨居」で架構を形成 「壁」で強度を増大 伝統的な木造軸組の耐震性能
第3章 木造住宅の耐震性能と構造規定 1 建築基準法と構造規定 壁量規定の成立 木造住宅に関する構造規定の変遷 限界耐力計算の規定 2 耐震設計の基本 耐震設計の方針 専門用語の整理 3 耐震性能の評価法 木造住宅の特性 地盤と地震力 耐震性能の判定基準設計クライテリア) 応答計算法 構造計算の他に必要な検討事項
第4章 木造住宅と制震ダンパー 1 木造軸組の制震補強 制震補強とはなにか 制震ダンパーの種類 木造軸組に適した制震ダンパー 2 仕口ダンパー 仕口ダンパーの原理 仕口ダンパーの製作 仕口ダンパー単体の性能確認試験 木造軸組に組み込んだ場合の性能確認実験 在来木造軸組(住宅)の実大振動実験 伝統的な木造軸組(寺院)の実大振動実験 3 仕口ダンパーを用いた木造住宅の耐震補強 仕口ダンパーによる耐震補強設計法 仕口ダンパーの施工体制 仕口ダンパーの施工要領 4 仕口ダンパーの実績と普及 開発の経緯 適用の事例
第5章 限界耐力計算を用いた木造住宅の耐震設計および耐震診断・耐震改修指針 はじめに{\nds}設計法の成立について 1 一般 1.1 適用範囲 1.2 用語と準拠する規基準・報告書・関連図書 2 限界耐力計算 2.1 限界耐力計算の概要 (1)計算の流れ (2)計算モデルと設計荷重 2.2 木造軸組の特性 (1)伝統的な軸組構法 (2)木造軸組の変形モード (3)軸組の履歴特性と復元力特性 (4)耐震要素の復元力特性 (5)建物の復元力特性 2.3 地盤と地震動 2.4 目標とする耐震性能 (1)対象とする地震被害 (2)地震被害の定量的評価 (3)耐震性能の判定基準 2.5 応答計算(簡易法) 2.6 設計検討事項 (1)柱脚部の扱い (2)隣接家屋との衝突 (3)部材の検討と木材の強度 (4)通し柱(大黒柱)曲げ耐力の検討 (5)転倒の検討 (6)ねじれの検討と床の剛性 3 耐震診断 3.1 耐震診断の流れ 3.2 現地調査 (1)調査体制と項目 (2)概略図面 3.3 限界耐力計算を用いた耐震診断 4 耐震改修設計 4.1 耐震改修設計の流れ 4.2 補強方針 4.3 軸組の耐震性能を増大する補強法 (1)柱脚部を安定化する方法 (2)耐力・剛性を増大して揺れを小さく抑える方法\<(耐震補強)\< (3)変形性能を確保しつつ応答変形を抑える方法\<(制震補強)\< (4)柱の軸力保持機能を強化する方法 (5)仕口の分解を防ぐ方法 4.4 建物を軽量化する方法 4.5 個室を耐震化する方法 4.6 衝突に備える方法 5 チェックリストとレビュー [付1]復元力特性データシート 耐震要素の復元力特性 [付2]応答計算シート 耐力係数--減衰定数--応答変形角関係図
終章 リカレント建築を目指して 1 循環システム セーフティネット構法 輪廻転生 持続可能性 2 リカレント建築 神社建築 リカレント建築 ユビキタス建築 3 リカレント建築の将来像 ハイテク建築 IT技術 想像力の翼を
索 引
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