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住まいのノーマライゼーションII |
−バリアフリー住宅の実際と問題点− |
菊地弘明著 |
B5・184頁 / 4180円 発行年月日 : 1999年3月 ISBN : 4-7655-2435-3 |
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ノーマライゼーションの理念は着実に浸透しつつあるが,それが生活の場に反映しているとは,まだまだいいがたい.本書は,障害者や高齢者が「人間としての尊厳を保ち,自立した生活を営む」ための住宅のあり方を探る書である.まず,既存住宅に潜むバリアを検証し,それらにどのように対処するのか,基本的考え方,空間設計における要点や設備面での工夫などを,数多くの写真や図で事例を示しながら,具体的に解説している.資料として収録されているフィンランドの障害者住宅設計指導書も,示唆に富んでいる.一般の読者の方々にも,ぜひ一読いただきたい.
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1 既存住宅の検証:疑似体験用具と車いすを利用して 1.1 Y宅(木造2階建) 1.2 S宅(木造2階建) 1.3 A宅(木造車庫組み込み高床型式2階建) 1.4 U宅(補強コンクリートブロック造2階建) 1.5 Z宅(鉄筋コンクリート高層アパート) 2 障害を乗りこえて自立する新しい住まい 2.1 限りなく普通に近い住宅の中で 車いすで家事全般をこなし家族のみんなが自立する/2階は明るいオープンスペース,1階は私的空間,経験を生かした工夫も随所に/障害をもった2人が積極的に行動して勉強し設備・機器を最小限に,大型家具も手すり代りに/基本条件を,無理なく組み込んで生れた,ゆったりとした空間/福祉組織との連携と協力で,進行性の障害にめげずに前向きの在宅生活/突然の車いす生活に,経験もなく悩みと不安の中で/隅々まで気配り,ゆったりした平屋建 2.2 外断熱の快適空間の中で ブロックと木の素材が生かされた空間に,リハビリも兼ねた遊び心も/屋内でのリハビリに重点,2階を車いす生活の中心にした,鉄筋コンクリート外断熱 2.3 新しい技術の可能性の中で 最新の福祉機器を導入して,全身麻痺の残された機能を生かす/呼気スイッチを使った環境制御装置で介護の負担を軽減/社会復帰をばねに,モデルハウスで細部まで確認し,風水学も勉強/明るい希望の星,その自立への願いを込めてバリアフリー3階建 2.4 2世帯同居の中で 障害をもつ母とともに生活してきた父,そして若い世帯が,それぞれの生活のリズムを変えないで/老若の協力で,障害を乗りこえてスポーツで活躍する若いエネルギー/耳の不自由な主婦と,寝たきりに近いおじいちゃんを介護介するおばあちゃんが支え合って/転ばぬ先の杖,プライバシーとバリアフリーを両立/1年がかりで計画,コストを抑えて問題を先取り/立て替え同居,地元の設計・施工企業との共同で,地場製品も導入した傑作 2.5 古い住宅の枠の中で 既存の制約に縛られ,予算の壁にぶつかりながらも隅々まで気配りした老若同居/ヘルパーにも頼らずに,改築で自立/開放的にしたワンルームを活かし老々介護と社会奉仕活動を両立/介助から自立へ,パッチとスイッチを切り替えた/思い切った増改築,ホームエレベーターを導入した2〜3階の快適空間 2.6 その他の事例 新築6例/増改築6例 2.7 その後の経過・明暗を分けた2つの事例 つかの間の安堵と喜び/ばあさんと100歳までも
3 さまざまなバリアフリーへの対応と工夫 3.1 経済的な問題 3.2 内と外との接点 3.3 垂直方向の移動 3.4 排泄と入浴 3.5 経験と体験 3.6 継続性 3.7 在宅自立を支えるもの
4 資料編:障害者住宅設計指導書(フィンランド)
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