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岩垣雄一著 |
A5・342頁 / 3300円 発行年月日 : 2007年7月 ISBN : 978-4-7655-1721-8 |
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白砂青松の天然海岸である天橋立はどのくらい昔に出現したものなのか。そして,往古の日本人はこの美しい海岸をどうとらえ,そのまわりでどのように暮らしてきたのか。本書は天橋立の生成過程を,縄文・古墳時代から現代に至る,丹後地方の伝説や地理・歴史,また天橋立に因む和泉式部や雪舟の作品などとからめて語った「天橋立の総合的な案内書」であるとともに,世界遺産にも匹敵するこの名勝がこれまでどう守られてきたか,また今後どう守ってゆくべきかなどを語って,保全の必要性を訴える。
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はじめに
序章 天橋立の魅力
第1章 現在の宮津湾と阿蘇海 1 天橋立付近の地形と海象 天橋立の位置 宮津湾・阿蘇海の海底地形と流入河川 宮津湾の海象 2 漂砂の遮断と侵食対策工 港の建設による漂砂の遮断 サンドバイパス工と養浜工
第2章 縄文時代の宮津湾と丹後地方 1 縄文時代の宮津湾 海面の高さは変動する 縄文時代の宮津湾の地形 阿蘇海北岸の海岸段丘の形成 天橋立の発芽と成長の始まり 2 丹後地方の縄文時代 丹後地方の概要 縄文時代の遺跡
第3章 弥生時代の日本と丹後半島 1 弥生時代の日本 稲作農耕の開始と金属器の登場 戦争の発生と国際舞台への進出 卑弥呼の登場 2 丹後半島の弥生時代 弥生時代の天橋立 弥生時代の遺跡分布 華麗なガラス製腕輪と鉄刀
第4章 弥生時代の海人の活躍と戦乱 1 弥生時代の海人の活躍 タミル語が日本語の起源か 弥生文化の伝播 海人たちの舟 丸木舟による航海 航海は他人頼み−持衰 2 弥生時代の戦乱 武器と防御集落 武器の変遷 決闘と集団戦 丹後王国への道
第5章 神々の時代 1 古事記と日本書紀 日本の神話 古事記と日本書紀 2 古事記の神話@−高天原神話圏 イザナキノ命とイザナミノ命の天地創成 イザナキノ命の黄泉国訪問 イザナキノ命の禊祓 天照大御神と須佐之男命の誓約 須佐之男命の勝さび 天の石屋戸こもり 3 古事記の神話A−出雲神話圏 須佐之男命の大蛇退治 須賀の宮での結婚 因幡の白兎 根の国行き 大国主神の国譲り 4 古事記の神話B−筑紫神話圏 天孫降臨 天孫の結婚 海幸彦と山幸彦 鵜葺草葦不合命の生誕 5 丹後の神々 海部氏系図と海部氏勘注系図 丹後の神々の系図 丹後降臨 珍彦・饒速日命
第6章 古墳の出現と倭王権の成立 1 巨大古墳の出現 最初の巨大古墳−箸墓古墳 オオヤマト古墳集団 佐紀盾列古墳群と馬見古墳群 古市古墳群 モズ古墳群 2 倭王権の成立 ヤマト王権の誕生 超巨大古墳の世紀 半島の動乱と倭王権 渡来人の来往と五世紀 倭王権の拠点と地域王国 五世紀から六世紀へ 3 馬と港と道 騎馬文化の流入 『記・紀』と馬 海路と陸路の接点−港 難波津はどこか 長柄砂州の変遷と河内湖 大和と河内を結ぶ古道
第7章 丹後地方の古墳時代 1 丹後地方の古墳 古墳時代の天橋立 古墳時代の遺跡分布 丹後地方の主な古墳の編年 2 丹波の豪族とその栄枯盛衰 丹波の豪族たち 竹野川流域の繁栄と衰退 潟湖の埋没と河口閉塞 野田川流域の首長たち 阿蘇海周辺の古墳群と遺跡 3 その後の丹後 羽衣伝説 丹波国造
第8章 和泉式部の世界 1 飛鳥時代から奈良時代をへて平安時代へ 飛鳥時代から奈良時代へ 奈良時代から平安時代へ 2 和泉式部の時代へ 平安新仏教 摂関制度の成立 藤原道長の登場 後宮とそこに住む人たち 3 情感の歌人和泉式部 小式部内侍と和泉式部 和泉式部日記 丹後の和泉式部 和泉式部の古跡・伝承
第9章 雪舟の天橋立絵図 1 平安時代から鎌倉時代をへて室町時代へ 平安時代後期−院政と武士の成長 鎌倉幕府の成立−公武対立の時代 室町時代へ−南北朝と室町幕府 義満の晩年から応仁・文明の乱まで 応仁・文明の乱のあと−戦国大名の登場 2 漂泊の画僧雪舟とは 雪舟の修行時代 雪舟明国へ渡る 雪舟帰国し放浪の旅へ 3 天橋立図を読む 天橋立図はいつ、誰のために画かれたか 天橋立図を再現する 大天橋はいつ文殊地区に到達したか
第10章 現代の天橋立 1 天橋立の危機 丹後の守護 丹後の藩体制と天橋立 橋立切断の危機 天橋立先端の形成工事 江尻平地の生成から現在の大天橋砂嘴が形成されるまで 天橋立砂嘴がやせ細ってきた 2 天橋立を太らせる 大突堤の建設 国が事業に参加 サンドバイパス調査始まる 太った天橋立をどうして維持するか 3 天橋立のスタイルを良くする ノコギリ歯の汀線を美しくしたい 江尻〜日置海岸を親水性海岸にして景観をよくする
終章 これからの天橋立 環境倫理学の三つの主張 地球はすでに限界を超えた 地球温暖化による海面上昇 天橋立は大丈夫か 自然環境の創造
参考文献 索引 おわりに
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