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大泉楯著 |
A5・182頁 / 3080円 発行年月日 : 2002年2月 ISBN : 4-7655-1622-9 |
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美しい橋は,なぜ美しいと感じられるのか.美しい橋の条件とは何か.本書は,美しい橋を設計するための視座と手法について解説する,いわば「美しい橋梁設計論・実務編」とも呼ぶべき書である.長年,橋梁の設計に携わってきた著者が,その経験や自らの考え方,姿勢に立脚して,美的設計のあり方,美醜への感受性を育むことの重要さとその鍛え方,設計の主体の問題等について論じるとともに,基本設計レベルのことがらを中心に,美しい橋を実現するための計画・設計の実際を,事例も示しながら具体的に解説している.橋梁のみならず,広く社会基盤施設の設計にかかわる技術者にとって,おおいに参考になるものと思われる.
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第1章 設計の原点:日常生活と設計 1.1 酒場のグラス:観察の重要性 1.2 新幹線の小テーブル:考察の重要性 1.3 雨傘:単一の機能 1.4 カメラ:複数の機能 1.5 時計:異種の機能 1.6 料理:素材を生かす 1.7 法隆寺の柱:謙虚さ 1.8 遊園地:多目的とゆとり 1.9 美しさ:設計者の要件 1.10 日常:日常の涵養 1.11 窓:客観性 1.12 宇宙は呑み込めるか:視点の変換 1.13 設計:ものの存在意義 1.14 再び酒場へ:拘束からの解放
第2章 基本認識:設計のこころ 2.1 美しさとは何か (1)美しさの種類 (2)感覚美 (3)情感美 (4)視覚美 人の目と視野の特徴/人の見方の特徴/土木構造物における美の視座 2.2 橋とは何か (1)資本としての公共性 (2)機能としての公共性 (3)風景としての公共性 (4)工学の産物 (5)永い耐用年数 (6)社会的な道具 (7)劇的な場 (8)むきだしの構造体 2.3 橋はなぜ美しくなければならないのか (1)人間の本能が美を求める (2)美は存在矛盾を和らげる (3)美における中小橋梁の重要性 2.4 橋にとっての美しさとは何か (1)個体としての美しさ 基本は技術美/外部空間と内部空間/技術美の表現は造形感覚と優しさで (2)風景としての美しさ 風景の観察と分析/風景への馴染み/橋の調子 (3)都市としての美しさ (4)デザインにおける日本性 なぜ日本性を問題にするか/日本性は今でも存在するか/デザインになぜ必要か/デザインにおける日本性 2.5 橋の構造形式とその特徴 (1)橋の形式と適用スパン (2)形式と特性 桁橋/ラーメン橋/アーチ系橋/トラス橋/吊橋/斜張橋/吊床版橋/石橋/木橋 2.6 設計の態度と考え方 (1)計画における発想法 社会的コンセプトに基づく伸びやかな発想/工学技術に基づく堅実な積上げの発想 (2)造形の態度 施設の規模と視覚的刺激の制限/理想解と現実解 (3)デザイン,設計ということば 2.6 設計者の要件と修練 (1)誰がデザインを行うべきか (2)設計者に求められる要件 求められる素養と資質/求められる修練 2.7 土木設計界の現状 (1)土木と建築の比較 設計対象物/設計の発注形態/設計体制と技術者 (2)土木界の課題 人材教育/評論家/諮問機関/設計料,発注方式 2.8 原点としてのデザイン十則
第3章 構造計画の実際:こころを形に表す 3.1 計画の手順 (1)一般的手順 (2)複数橋の計画 各橋の位置づけ/各橋のデザイン整備水準 (3)橋梁群としての把握 3.2 造形の検討,方法論 (1)現地調査 現場写真/大きな地形/目につく構造物,大樹等/街の様子/周辺既設橋梁群/歴史的情報その他 (2)類似の事例収集 (3)造形の基本 現場での発想とシミュレーション/目の前にいつも現場資料/事例参照・物真似排除/下心なく・新鮮な構造形/名物レリーフ主義はデザインではない (4)造形の検討 ラフ図面/構造検討/スケッチパース/スタディ模型 3.3 プレゼンテーション (1)模型 (2)手書きパース (3)フォトモンタージュ (4)ワイヤフレームCG (5)サーフェイスCG,ソリッドモデルCG 3.4 計画上の問題点と実務的解法 (1)ことばの世界と形の世界のギャップ 問題点/解決策1・2 (2)造形のノウハウ 問題点/解決策 (3)評価 問題点/解決策 3.5 造形のチェックポイント (1)先人による美の法則 一般的概念/プロポーション,構図,序列等/デザイン論/デザインマニュアル (2)個体美に関するチェックポイント 好みと美は別もの/不経済な美は意味がない/構造物デザインは芸術ではない/構造技術はもろ刃の剣/全体形および上部工/下部工/付属物その他
第4章 参考資料:事例・環境・スケッチ 4.1 さまざまな形 (1)工作物・自然 (2)珍しい橋 (3)高欄・柵 (4)床仕上げ (5)壁仕上げ 4.2 地球環境への負荷 (1)概要 温室効果ガスと地球温暖化/温暖化の悪影響と対策 (2)建設工事とCO2排出量 排出のCO2単位量/排出CO2の抑制 4.3 ラフ図・スケッチ例
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