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吉原進著 |
A5・246頁 / 3080円 発行年月日 : 2000年5月 ISBN : 4-7655-1611-3 |
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持続可能な国づくりを支えるべき土木工学には,どのような哲学,倫理が求められるのか.本書は,これからの土木工学の体系には哲学を盛り込むことが必要不可欠であるとして,議論を喚起したいという意図も込め,著された書である.
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序章 1.1 土木 土木の由来/土木の要件/土木の起業者/土木の目的 1.2 歴史認識 歴史認識/資料主義/非存在証明/歴史の客観性/古い技術の今日的意義/歴史は繰り返す 1.3 感・知・理 知と理/感性と直観/想像と理想 1.4 安全と危険 安全を前提にする/安全側の判断/危険を前提にする/安全率と危険率/安全と危険の差 1.5 主張と批判 土木の哲学/土木への批判 第2章 自然・環境 2.1 自然と環境 自然の定義/自然の区分/風土論概論/日本の自然との対峙の仕方 2.2 日本の自然 日本列島の気象/日本列島の地象/予言と予測/自然現象の予測/なぜ災害が防げない 2.3 環境原則 自然は誰のものか/上流と下流の利害関係のあり方/地域不均衡問題/世代間問題/先進国の心得/資源管理の下で/環境問題への取り組み 2.4 自然保護 自然保護/放置は自然破壊/世界自然遺産 2.5 環境適応性土木 安全観の転換/循環土木への試み
第3章 人間・社会 3.1 日本人 人間の自立/個と公/公共/日本人像/日本人の日本観 3.2 倫理・道徳・正義 倫理と道徳/正義 3.3 民主主義 人間のエゴ/政界のエゴ/官界のエゴ/学界のエゴ/マスコミのエゴ/人権と自由/平等・公平/差別/規律・自律/規制/土木に関わる規制/民主主義 3.4 教育・文化 戦後の新教育/文化/土木の文化性/埋蔵文化財の発掘 3.5 社会適合性土木 社会意志の決定
第4章 景気・経済 4.1 社会の目標と豊かさ 現状の認識/豊かで平等な社会/これからの目標 4.2 景気 金が余っているのになぜ不景気か/景気/景気の障害/正統的景気対策/アメリカの景気対策/景気対策としての公共事業 4.3 資本主義 市場/世界恐慌に勝る恐慌/どんな風に未曾有か 4.4 国際化 一癖も二癖もある国々と日本/日本の国際戦略/日本の独立性/社会主義の原則にこだわる中国 4.5 経済相応性土木 多様な事業評価/土木と経済のあるべき関係
第5章 科学・技術 5.1 科学・技術・技能 技術と技能/技能の社会的評価/技能の力 5.2 理工離れ 完璧な商品/安全への不信感/受験科目に技能科目を/社会の理工離れ/先端技術における技能軽視 5.3 物真似道 真似る・学ぶ/猿真似と物真似/物真似の要件/加上論/独創の源/完璧の弱点/物真似道 5.4 技術の本性 技術の本性/技術の限界/技術の非人間性/技術の魔性/技術のあるべき姿/解明できない技術 5.5 感性土木 競争時代の幕が開く/誤解や汚れは美を腐らせる/本当の造る感性
第6章 美・醜 6.1 美学序論 美の定義/美を創る/土木の美と醜/美と倫理 6.2 技術美 純粋性:数学的論理・明快さ/完璧さと完璧の中の揺らぎ/巨大さ長大さ 6.3 美の実践 美の規範/多様と統一/借景・景観/郷愁と風土 6.4 装飾論の序 装飾の意義/橋の装飾/各地の橋の装飾
[コラム]:技術の母胎は土木/今昔物語と土木/土木と戦闘/火があって煙は立つ/土木の伝承/三角縁神獣鏡/アーチの発祥/古い技術の重要性/土木は経験工学/吉田兼好の備え/二宮尊徳の備え/土木の伝統と因襲/土木の哲学/土木評論家のために/気象に敏感な日本人/昔の土木は退避型/世界の災害/科学観測と感覚観測/地震の記録と記録的地震/ファウストに見る土木/イースター島の悲劇/蜂の巣城と電力/共有地の悲劇/伝統生活/鯨問題で主張する前に/動物保護/土木と開発/環境危機/ローマ帝国の悲劇/ここまでやれれば/ここまではやれない?/日本国憲法/荻生徂徠の合理性・融通性/理想の公/流言とパニック/江戸時代の土木/曖昧な発音/辞書の倫理と道徳の揺れ/一即一切・一切即一/正義と判断/新聞倫理綱領/同じこと・違うこと/土地への尊厳が倫理観/自立と規律/民主主義の見本/戦後の教育の混乱/土木の文化性/文化とパトロン/土木と女性/司法の独立性/断水では給水車は来ない/ものと心/銀行預金/感性寿命/信頼と信用/ここまで国際化/エネルギーの独立策/日本の災害/新しい潮流/費用便益/技能の伝承/紙で橋を作る/掘り起こし共鳴理論/権威/常識を越えた発想/工学への問いかけ/分業と総合/アーチ石橋は地球温暖化を救う/談合/裸体芸術/主張あるものに魂あり/床柱と揺らぎの美/様式の美と新規性/慣れの美と模造品/統一と多様/内からの視線/ランドマーク/土木にも遊びがいる/中国石橋の装飾 など
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