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書籍詳細
 
湖の水質保全を考える
−霞ヶ浦からの発信−
田渕俊雄著
B6・200頁 / 1980円
発行年月日 : 2005年8月
ISBN : 4-7655-4443-5
 

内容紹介
【美本ございません】
1981年霞ヶ浦富栄養化防止条例が設定され,1984年には湖沼法が公布されて,霞ヶ浦水質保全計画がスタートし,既に4期作成され20年にわたって対策が実施されてきた。それなのに水質はそれほど良くはなっていない。なぜなのだろう?
本書は,霞ヶ浦の事例を中心に,湖沼や河川の水質ならびに生活系,畜産系,農地系,森林系などの研究調査に加えて,湖沼環境行政上の計画や対策の内容および市民活動などを幅広く記載,他の多くの湖沼との比較も行いながら,湖沼水質の保全の現状を理解させるとともに,生きている湖沼との関わり方をわかりやすく述べた。
 
目次
プロローグ

1. 霞ヶ浦とは
1.1 霞ヶ浦は巨大な水循環利用湖−家庭から出た排水は再び水道水として戻る
1.2 霞ヶ浦の基本的緒元−湖面積は日本第2位,水深わずか4m
1.3 洪水,塩害,水利開発,そして水質汚濁
1.4 流域の土地利用と豊かな産業

2. 霞ヶ浦の汚濁原因究明に明け暮れた時代−1970年代
2.1 アオコの大発生とコイの大量酸欠死;1973年
2.2 汚濁原因は何か? 工場排水・下水か,または水田か?
2.3 茨城大学農学部霞ヶ浦研究会の精力的な調査
2.4 汚濁原因を探る調査−工場排水から河川,水田まで

3. 窒素・リン規制の時代へ−しかし改善は進まず
3.1 窒素・リンの法的規制始まる;1982年
3.2 霞ヶ浦の現状水質はCOD約8mg/L,環境基準の約3倍も高い
3.3 水質保全計画の実施状況−その進捗率は低い
3.4 流入河川の水質も改善されず−流域状況の反映

4. なぜきれいにならないのか?−多様な多くの汚濁発生源
4.1 霞ヶ浦流域の多様な汚濁発生源
4.2 生活系の負荷が減少せず−大きな落とし穴・ライフスタイルの変化
4.3 畜産系の負荷も大きい−環境基準を超える高濃度;素掘貯留池からの浸透
4.4 多肥の畑地・樹園地からの肥料成分の流出−高濃度硝酸性窒素の検出
4.5 水田における肥料流出調査といろいろの対策

5. 浄化役の森林と湿地・水田の窒素除去機能
5.1 貴重な森林からの清浄水
5.2 降水の窒素,リン濃度も結構高い
5.3 自然浄化,水田も人工的な浄化ウエットランド
5.4 地形連鎖の中で発揮される水田の窒素除去機能

6. 湖内にも問題山積
6.1 植物プランクトンの変化と季節変動の喪失
6.2 溶存態CODの増大と白濁化
6.3 湖内の窒素・リン動態と漁獲の重要性
6.4 コイ養殖による負荷
6.5 最近の異常なリン濃度の上昇−原因は何か?
6.6 湖岸植生帯や前浜の減少がもたらしたもの
6.7 導水,浚渫,砂利採取の影響は?

7. 現在の汚水処理で十分か?−森林流出水による希釈が必要
7.1 排水規制の仕組み,希釈水の必要性
7.2 生活排水処理水の希釈に必要な森林面積はいくらか
7.3 森林流出水量と生活排水量の比較−霞ヶ浦流域では森林が決定的に不足
7.4 各都道府県河川硝酸性窒素濃度と森林面積率の関係
7.5 日本の主な河川の硝酸性窒素濃度

8. 第4期霞ヶ浦水質保全計画−その作成手法と内容
8.1 第4期霞ヶ浦水質保全計画策定までの審議
8.2 湖沼水質保全計画の作成手法
8.3 第4期計画の目標水質と対策−ごくわずかの改善
8.4 数多くの対策事業,膨大な予算
8.5 フレームの変化
8.6 排出負荷量の算定

9. 日本の主な湖沼の水質と水質保全計画
9.1 日本の湖沼の水質状況−その改善は遅れている
9.2 琵琶湖,諏訪湖などの現状水質と目標水質
9.3 指定湖沼の水質保全計画の概要と特徴
9.4 指定湖沼の水質保全対策の実施状況−総務省評価をめぐって
9.5 ため池の水質も悪化している

10. 湖沼の排出負荷と汚濁負荷−その大きな違い
10.1 指定湖沼の排出負荷量−比負荷量で比較する
10.2 面源負荷量を左右する土地利用
10.3 排出負荷量内訳グラフの落とし穴−自然負荷も問題なのか
10.4 湖沼の汚濁負荷とは? 自然負荷を除外した計算
10.5 濃度も配慮した解析と評価が必要

11. 市民活動と研究者の活動
11.1 世界湖沼会議に結集した市民,研究者.企業,行政
11.2 長い歴史を持つ精力的な市民活動
11.3 レベルの高い研究者の活動

12. 規制の流れと今後の課題
12.1 例外なき規制と高度処理化,土地利用,そして減量化へ
12.2 流域管理とパートナーシップ
12.3 各層の連携の拠点「霞ヶ浦環境科学センター」の設立
12.4 水質保全計画作成上の課題
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