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書籍詳細
 
イノシシは転ばない
−「猪突猛進」の文化史−
福井栄一著
B6・280頁 / 2420円
発行年月日 : 2006年12月
ISBN : 4-7655-4235-1
 

内容紹介
原始時代から人間や猟犬に追い掛け回され,狩られては貴重なタンパク源となってきたかと思うと,一方では神獣と崇められ,詩歌・絵画・彫像・民話のモチーフとされ,さらには十二支のしんがりまで務めるイノシシ。人類とこれだけ長く深い関わりを持ちながら,イノシシを主人公にした本を見かけることはほとんどありません。イノシシの生態・習性はもちろんのこと,猟法や駆除法,イノシシをめぐる珍談・奇談、果てはイノシシ料理のレシピまで網羅した本書は,そうした空隙を埋める,イノシシ大百科です。日本出版史上最大の(!?)イノシシ本を,ぜひご一読下さい。

【福井栄一の十二支シリーズ(全12巻のご案内)】
「大山鳴動してネズミ100匹」
「悟りの牛の見つけかた」
「虎の目にも涙」
「かわいいだけがウサギじゃない」
「龍の100の物語」
「蛇と女と鐘」
「馬耳東風では済まないはなし」
「羊が一匹、羊が二匹 ぐっすり眠れる羊のはなし」
「おさるの大合戦」
「卵より先のニワトリばなし」
「犬と猫はどうして仲が悪いのか」
「イノシシは転ばない」
 
目次
はじめに

第1章 文字で書くイノシシ
 第1節 イノシシの語源
  1.イノシシの語を分解すると
  2.ヰの字は悩ましい
 第2節 猪の字源
  1.猪=ブタ?
  2.変幻自在の「豕」
  3.ならば「亥」は?
 第3節 猪八戒の正体は?
  1.猪八戒はブタでござる
  2.八戒って、何?

第2章 十二支獣としてのイノシシ
 第1節 陰陽説をマスターしよう
 第2節 五行説は怖くない
 第3節 陰陽五行説はこうして生まれた
 第4節 十干の仕組み
  1.数えるのに便利な数字は?
  2.日を数えるだけかと思ったら
 第5節 十二支とイノシシ
  1.月を数えよう
  2.植物のライフサイクルと十二支
  3.いよいよ動物名とドッキング
  4.世界各国で異なる十二支獣の顔ぶれ
  5.時刻も方位も十二支でOK
 第6節 十干・十二支と暦法
  1.まずは日から
  2.続いて、年も
  3.あの名前、この呼び名も、みんなこの表から始まった
  4.みんなが誤解している「えと」
 第7節 「亥」歳の出来事と有名人
  1.亥歳は縁起が良いのか?
  2.あの人も亥歳生まれ!
 第8節 亥の子の祝い
  1.亥が揃う時に起こること
  2.中国から日本へ
  3.亥の子餅の正体とは?
  4.玄猪の祝いと火
  5.農耕との関わりも大事です
  6.子どもたちの唱え言
  7.焼き殺されるイノシシ

第3章 生き物としてのイノシシ
 第1章 生物分類上のイノシシ
  1.イボイノシシ属と戦闘機
  2.モリイノシシ属の好物は?
  3.カワイノシシ属の特技
  4.バビルサ属とブタ
  5.イノシシ属だって、さまざまなのだ
  6.イノシシ種の三大グループ
  7.リュウキュウイノシシとイリオモテヤマネコ
 第2節 ニホンイノシシのからだと生態
  1.どこに棲んでいるのか
  2.オスもメスも牙を持つ
  3.動物作家シートンとイノシシ
  4.大食漢なんです
  5.長い鼻が大活躍
  6.地名になったイノシシの鼻
  7.ブルドーザー並みの鼻パワー
  8.メスをめぐるオスの争い
  9.オスはツライよ
  10.何匹生むの?
  11.ウリ坊受難
  12.ウリ坊とキツネ
  13.習慣というのは恐ろしい
  14.ベッドルームも拵えます
  15.わが家は楽し
  16.運動能力を検証する
  17.偶蹄目と奇蹄目
  18.偶蹄目の貫録勝ち
  19.反芻の仕組みと利点
  20.イノシシは反芻するのか?
  21.奇妙なタブー
  22.イノシシの視力は?
  第3節 イノシシの習性と俗説の真否
  1.まっすぐにしか進めないの?
  2.あせるイノシシ
  3.引き返すイノシシ
  4.曲芸に挑むイノシシ
  5.夜行性なの?
  6.臥猪の風情
  7.臥猪の俳句と川柳
  8.怒らせたら大変です
  9.ヌタうちの謎
  10.「牙かけ」と「こすりつけ」
  11.自家製の鎧
  12.イノシシは泳げないの?
  13.どうやって泳ぎを覚えるのか?
  14.なぜ泳ぐ?
  第4節 イノシシの疾病と死
  1.豚コレラの恐怖
  2.発生の歴史
  3.豚丹毒にも注意
  4.寄生虫は手強い
  5.見逃せない交通事故

第4章 喰われるイノシシ
 第1節 イノシシと日本列島
  1.ご先祖サマの来日
  2.縄文人の「おまえらを喰っちゃうぞ」
  3.弥生人の「おまえらを飼うぞ」
  4.ブタの登場
  5.猪を飼うプロたち
  6.猪のつく地名は多い
 第2節 肉食のタブーとイノシシ
  1.肉食にさす暗い影
  2.肉食をめぐるアジア各国の状況
  3.日本では「肉食はダメ」
  4.肉食禁止令をめぐる誤解
  5.肉食禁止令が目指した構造改革
  6.仏教説話によるPR効果は大きかった
  7.貴族たちの苦渋
  8.武家が肉食を公認しない裏事情
  9.形骸化が進むタブー
  10.日本はブタだらけ?
  11.長崎でも江戸でも
  12.花開く獣肉の食文化
  13.ももんじ屋、大繁盛
  14.ももんじ屋の呼称の由来
  15.人気メニューは、「山くじら」
  16.肉食は開化の象徴なり
  17.肉食、ついに解禁さる
  18.明治政府の思惑
 第3節 イノシシ肉料理あれこれ
  1.代表格は「ぼたん鍋」
  2.丹波篠山は、ぼたん鍋王国
  3.輸入モノが急増
  4.イノブタ誕生
  5.イノブタと遺伝子汚染
 第4節 イノシシと薬
  1.「薬喰い」という妙策
  2.イノシシの胆は万能薬

第5章 狩られるイノシシ
 第1節 権力者たちの狩り
  1.古代中国の王侯たちは狩りが好き
  2.日本の権力者たちが狩りをしたわけは?
  3.狩りの実例
   (1)応神天皇
   (2)雄略天皇
   (3)在原業平だって狩りをした
   (4)平維盛
   (5)梶原景高や仁田忠常らの巻狩
   (6)巻狩のお手本は阿蘇神社
   (7)源頼朝による富士の巻狩
   (8)仁田忠常の大猪退治
   (9)曽我兄弟の仇討ち
   (10)仁田忠常の哀れな最期
   (11)豊臣秀吉
   (12)徳川秀忠
   (13)徳川吉宗
   (14)皇室と狩り
 第2節 猟師たちの苦悩
  1.罪悪感を植えつけられる
  2.賤視の始まり
  3.孤立する猟師
  4.里や町の人々の偏見
 第3節 諏訪信仰
  1.「諏訪の勘文」の由来
  2.「諏訪の勘文」の効用
  3.秘伝化のプロセス
  4.諏訪大社の由緒
  5.菅江真澄も見た御頭祭
  6.「鹿食免」と免罪符
 第4節 狩りの道具
  1.槍
  2.弓矢
  3.犬
  4.鉄砲
   (1)性能は? お値段は?
   (2)鉄砲をめぐる誤解
   (3)農具か? 武器か?
   (4)農具としての鉄砲が必要だった理由
   (5)隠微な分断政策
  5.罠
   (1)檻
   (2)落とし穴
   (3)仕掛け罠
   (4)押し
   (5)噛み割り
   (6)くくり罠
 第5節 狩りの実際
  1.「攻め」の単独猟
  2.「待ち」の単独猟
   (1)樹上の恐怖
   (2)ヌタ待ち
  3.集団猟
 第6節 狩りのタブー
  1.声を出すな
  2.総勢七名は不吉
  3.相手はにおいに敏感
  4.家を出る前から、タブーはある
  5.験担ぎの心性
 第7節 イノシシにまつわる狩猟神事
  1.銀鏡神社(宮崎県西都市)
   (1)神楽の人気演目は「シシトギリ」
   (2)豊猟の予祝儀礼として
  2.旗山神社(鹿児島県肝属郡大根占町)
 第8節 害獣としてのイノシシ
  1.イノシシによる食害はすさまじい
  2.『万葉集』にみる農民の悪戦苦闘
  3.猪垣を築く
  4.最近では、電気柵も登場
  5.柵と網の併用が有効らしい
  6.「かかし」「鳴子」
  7.におい、音、異物による撃退は有効か?
  8.放牧という奇策
  9.猪飢渇の悲劇
  10.おイヌ様におすがりする
  11.箱罠による駆除
  12.駆除数を地方別に比べてみる

第6章 妖異としてのイノシシ
 第1節 イノシシにだまされた聖
 第2節 ヌタ待ちの怪異
  1.良い思案じゃ
  2.妖女あらわる
 第3節 妖異ではなく、現実の傷害事件も
 第4節 イノシシは列車事故の原因にもなる

第7章 神威・仏威の顕現としてのイノシシ
 第1節 摩利支天の使いはイノシシ
  1.摩利支天信仰の広がり
  2.日本の三大摩利支天
 第2節 愛宕大権現の使いもイノシシ
  1.愛宕神社と勝軍地蔵
  2.愛宕神社の由緒来歴
  3.千日詣とイノシシ

第8章 海の向こうで物語られるイノシシ
 第1節 インド神話の「ヴァラーハ(野猪)」
 第2節 ギリシア神話のイノシシ
  1.アドニスを殺したイノシシ
  2.カリュドンの大猪
  3.ヘラクレスによる大猪退治
 第3節 ケルト神話のイノシシ
 第4節 ジークフリートの殺害を暗示するイノシシ
 第5節 シェイクスピアの戯曲のイノシシたち
 第6話 『イソップ寓話集』のイノシシ
 第7話 『グリム童話集』のイノシシ

第9章 絵や像になったイノシシ
 第1節 『鳥獣戯画』
 第2節 『十二類絵巻』
 第3節 萩とイノシシ
 第4節 お札になったイノシシ
 第5節 漫画で大人気のイノシシ
 第6節 郷土玩具や郵便切手の絵柄になったイノシシ
 第7節 世界中で愛される「ポルチェリーノ(子猪)」像
 第8節 猪口や猪牙船の由来

第10章 有名人とイノシシ
 第1節 赤いイノシシと思ったら、実は・・・  :大国主命 篇
 第2節 イノシシは命の恩人 :和気清麻呂 篇
 第3節 実はイノシシの娘!? :和泉式部 篇
 第4節 梶原景時に言われて、キレた一言とは? :源義経 篇
 第5節 画家の心眼を開いた一枚の絵 :円山応挙 篇
 第6節 イノシシと思って撃ったら、人間だった :早野勘平 篇
 第7節 八犬伝とイノシシの浅からぬ縁 :曲亭馬琴 篇
 第8節 神慮はかくの如し :司馬遼太郎 篇

終章 イノシシと人間

イノシシの慣用句・ことわざ
あとがき
参考文献一覧
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